1.ローン借入の流れを把握することが大切
ローン借入は、金額が大きく長期にわたるものが多いため、事前に流れを把握しておくことが重要です。流れを理解しておけば、必要な準備や手続きの見落としを防ぐことができます。
ローン借入の一般的な流れは以下の通りです。
-
事前準備
-
申込みと本審査
-
契約と実行
-
借入後の対応
それぞれの段階で、次のようなことに気をつける必要があります。
段階 |
主な確認ポイント |
---|---|
事前準備 |
資金計画、金融機関の選定、必要書類 |
申込み・本審査 |
事前審査、本審査の申込み、審査結果 |
契約・実行 |
契約内容の確認、契約締結、資金交付 |
借入後 |
返済管理、条件変更時の対応、完済手続き |
このように、ローン借入には複数の段階があり、各段階で確認すべき重要なポイントがあります。事前に流れを把握し、着実に準備を進めることが、トラブルを防ぐ上で欠かせません。
2.ローン借入の事前準備
(1)資金計画の立案
ローンを借り入れる際、最初の大切なステップは資金計画を立てることです。まずは、借入金の使途と必要な総額を明確にしましょう。例えば、賃貸物件購入であれば物件価格や諸費用、を洗い出します。
使途 |
必要資金 |
---|---|
物件代金 |
2,000万円 |
諸費用 |
200万円 |
合計 |
2,200万円 |
次に、自己資金をどの程度充当できるかを確認します。頭金や手元資金、贈与資金などを含めて検討しましょう。最後に、不足分をローン借入額として設定します。資金計画は、ローン返済額の試算にも役立ちます。
(2)金融機関の選定
ローンの借入先となる金融機関の選定は、ローン契約にとって重要なステップです。金融機関によって、金利や手数料、審査基準などが異なるため、事前に複数の金融機関を比較検討することをおすすめします。
まずは、大手の都市銀行や地方銀行、信用金庫などを中心に検討対象の金融機関リストを作成しましょう。各金融機関の公式ウェブサイトでローン商品の概要を確認し、下記の観点から比較検討を行います。
比較項目 |
主な着眼点 |
---|---|
金利 |
固定金利か変動金利か、金利水準は適切か |
限度額 |
必要資金額に対して十分な限度額があるか |
返済期間 |
長期にわたる返済が可能か |
団体信用生命保険 |
付帯する場合の保険料水準は適切か |
自身の資金計画に合わせて、複数の候補から最適な金融機関を絞り込むことが重要です。事前の比較検討を怠らず、慎重に金融機関を選定しましょう。
(3)必要書類の確認
ローン申込みの際には、金融機関から求められる書類をそろえる必要があります。主な必要書類は次の通りです。
書類名 |
概要 |
---|---|
収入証明書 |
給与明細書、確定申告書などで収入を証明する書類です。 |
在職証明書 |
所属先の会社が発行する在職証明書が必要です。 |
住民票 |
本人確認のため、発行から3か月以内の住民票が必要です。 |
印鑑証明書 |
本人の実印の印鑑証明書が必要となります。 |
物件資料 |
売買契約書のコピーのほか、物件の詳細資料一式が必要です。 |
また、年齢や借入目的、申込先の金融機関によっては、これ以外の書類が求められる場合もあります。事前に不明な点は金融機関に確認し、必要書類を漏れなくそろえましょう。
3.ローン申込みと審査
(1)事前審査の申込み
事前審査は、本審査の前に行われる簡易な審査です。この審査を受けることで、借入可能額の目安や金利水準を確認できます。
事前審査の際は、以下の書類を用意する必要があります。
書類名 |
概要 |
---|---|
収入証明書 |
直近の源泉徴収票や確定申告書の写し |
借入目的書類 |
賃貸不動産購入の場合は買付証明書や物件資料など |
本人確認書類 |
運転免許証やマイナンバーカードの写し |
事前審査では、収入に対する借入額の適切性や、借入目的が金融機関の融資条件に合致するかなどがチェックされます。
この事前審査の結果を踏まえて、本審査に進むかどうかを検討します。本審査に進む場合は、追加で必要書類の準備が必要になります。 事前審査を経ることで、本審査の手続きがスムーズに進められるメリットがあります。
(2)本審査の申込みと書類提出
事前審査を通過した場合、本審査の申込みを行います。本審査では、より詳細な審査が行われるため、さまざまな書類の提出が求められます。
主な提出書類は以下の通りです。
書類 |
内容 |
---|---|
売買契約書 |
売買契約書の写し |
住民票 |
現住所と世帯構成を確認する書類 |
健康保険証のコピー |
勤務先を証明する書類 |
残高証明書 |
預金残高や借入残高を確認する書類 |
また、マイナンバーカードのコピーや、配偶者の収入証明書なども必要となる場合があります。書類不備がないよう、金融機関からの指示に従い、漏れなく提出しましょう。
さらに、物件詳細資料を追加で依頼されることもあります。
(3)審査結果の確認
ローン申込み後、金融機関から審査結果が通知されます。審査結果には、以下の3つのパターンがあります。
結果 |
内容 |
---|---|
承認 |
申込み内容通りにローンが実行できます。 |
承認条件付き |
一部条件を変更する必要があります。 |
不承認 |
今回はローンを組むことができません。 |
承認の場合は、契約内容を確認し次の手続きに進みます。条件付き承認の場合は、条件変更の内容を十分に確認する必要があります。金利や返済期間の変更など、重要な条件が変わる可能性があるためです。
不承認の場合は、理由を金融機関に確認し、対応を検討します。他の金融機関での申込みや、申込み内容の見直しなどが考えられます。審査結果を慎重に確認し、次のアクションを検討しましょう。
4.ローン契約と実行
(1)契約内容の確認
ローン契約を締結する際、契約内容を確認することが大切です。主な確認ポイントは以下の通りです。
-
借入金額
-
金利(固定/変動)
-
返済期間
-
返済方法(元利均等返済/元金均等返済)
-
返済額(月々の返済額)
-
諸費用(事務手数料、印紙代等)
契約内容を十分に理解した上で、自身の収入や返済能力と照らし合わせて判断します。不明な点があれば、金融機関に確認しましょう。
(2)契約締結
ローン審査が通過すると、次は契約締結の段階に進みます。この際、契約内容を再確認することが重要です。
主な確認ポイント |
---|
・借入金額 |
・金利 |
・返済期間 |
・返済日 |
・払込方法 |
・手数料など諸費用 |
契約書の内容に不明な点があれば、必ず金融機関に確認を取ってください。契約は重要な法的拘束力を持つため、内容をしっかり理解しないと後々トラブルの原因となります。
確認が済んだら、金融機関の指定する方法で契約締結の手続きを行います。書面での契約書への署名捺印や、インターネット上での電子契約など、機関ごとに異なります。
契約が正式に成立すれば、金融機関から借入金の交付を受けられるようになります。契約締結は、ローン借入プロセスの重要な節目です。書類不備など不手際がないよう、十分注意を払いましょう。
(3)ローン実行と資金交付
契約締結後、ローン実行のための手続きを行います。金融機関によって手順は異なりますが、通常は以下のようになります。
-
金融機関から交付される「ローン実行に関する書類」に必要事項を記入します。
-
金融機関に書類を提出し、ローン実行を申請します。
-
金融機関から、次の情報を確認します。
-
ローン実行日
-
資金交付日
-
資金の入金口座
-
-
ローン実行日に、契約に基づいた資金が交付されます。
資金交付方法 |
説明 |
---|---|
口座振込 |
指定の口座に資金が振り込まれる |
現金交付 |
店頭で現金が交付される |
資金交付を受けたら、ローン返済開始に向けた準備を進めます。返済額や返済日、返済方法などを確認し、スケジュール管理に備えましょう。
5.借入後の対応
(1)返済スケジュールの管理
ローンを借り入れた後は、返済スケジュールを確実に守ることが重要になります。返済を怠ると残金一括返金義務が発生したり、最悪の場合は債務不履行となり、信用情報機関に債務者情報が登録されてしまいます。
返済日と返済額を必ずメモしておきましょう。金融機関から送付される「返済予定表」を活用するのも効果的です。返済予定表には以下のような情報が記載されています。
項目 |
内容 |
---|---|
残高 |
その時点での借入残高 |
元金 |
当月返済分の元金 |
利息 |
当月返済分の利息 |
合計返済額 |
元金と利息の合計額 |
毎月の返済額や残りの返済回数を把握することで、計画的に返済を進めることができます。スマホアプリなどを活用すれば、手軽に返済状況を確認できます。
(2)条件変更時の対応
借入条件に変更が生じる可能性もあります。収入の変動や環境の変化など、不測の事態によって返済能力が変わることがあるためです。
条件変更の主な種類は以下の通りです。
変更内容 |
概要 |
---|---|
返済期間の変更 |
返済期間を延長・短縮する |
返済方法の変更 |
元利均等返済などの方式を変更する |
金利タイプの変更 |
固定金利と変動金利を切り替える |
変更を希望する際は、まず金融機関に相談しましょう。変更可否や手続き方法を確認し、必要書類を揃えます。審査の上で承認されれば、新しい条件に基づいて返済が可能になります。
条件変更には手数料が発生する場合もあり、早期完済の特約料が必要になることもあるので注意が必要です。条件変更をする前に、メリット・デメリットを十分に検討しましょう。
(3)完済手続き
ローンの返済が完了した際には、必ず金融機関に対して完済手続きを行う必要があります。完済手続きを行わないと、金融機関側では返済が完了したことを認識できません。そのため、毎月の返済が継続されてしまう可能性があるのです。
完済手続きには、以下の3つのステップが必要となります。
-
最終返済日の確認
-
完済した旨の通知
-
完済証明書の受領
まず、ローン契約時に確認した最終返済日を再度確認しましょう。次に、最終返済日の数日後に金融機関に完済した旨を確認します。通知方法は金融機関によって異なりますが、多くは電話かウェブサイト上で行えます。
最後に、金融機関から完済証明書を受領します。この完済証明書が、ローンの返済が完了したことの証明書となります。大切に保管しておきましょう。