建築基準法第12条に基づく定期報告と12条点検:昇降機等定期検査編

保守点検

建築物の安全性を確保するためには、定期的な点検と報告が欠かせません。この記事では、建築基準法第12条に基づく定期報告と12条点検の中でも、特に昇降機等定期調査に焦点を当てて解説します。

建築基準法第12条とは?

建築基準法第12条は、建築物の維持管理を定めた法律です。この法律に基づき、建築物の所有者や管理者は定期的に建物の状態を調査し、その結果を報告する義務があります。これにより、建物の安全性が確保されます。

定期報告とは?

定期報告は、建築基準法第12条に基づき実施されるもので、建物の現状を確認し、安全性や機能性を維持するための措置を講じるための報告です。報告は所管行政庁に提出され、必要な対応が求められます。

昇降機等定期調査とは

⑴ 昇降機等とは?

昇降機等には、エレベーター、エスカレーター、小荷物専用昇降機、遊戯施設などが含まれます。これらは利用者の安全を確保するために特別な管理が必要です。

⑵ 昇降機等定期調査の目的

昇降機等の定期調査の目的は、これらの設備が正常に動作し、安全に使用できる状態を維持することです。これにより、事故の発生を未然に防ぐことができます。

⑶ 定期調査の内容

定期調査では、以下の点がチェックされます:

  • 構造部分の点検
  • 機械部分の点検
  • 電気部分の点検
  • 制御装置の点検

⑷ 調査の手順

調査の手順は以下の通りです:

  1. 調査計画の立案
  2. 現場調査の実施
  3. 調査結果の分析
  4. 必要な修繕・改修の実施
  5. 報告書の作成と提出

⑸ 調査後の対応

調査後は、発見された問題点に対して適切な対応を行います。必要に応じて修繕や部品の交換を行い、再度調査を実施して安全性を確認します。

定期検査・保守点検・性能検査の違い

定期検査、保守点検、性能検査の違いを以下の表にまとめます

定期点検報告 性能検査・定期自主検査 保守点検
法令 建築基準法第12条 性能検査:労働安全衛生法

定期自主検査:クレーン等安全規則

建築基準法第8条
罰則 100万円以下の罰金 6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金 なし
検査資格 一級建築士
二級建築士
昇降機等検査員
性能検査:労働基準監督署長または登録性能検査機関

定期自主検査:登録性能検査機関

なし

※国土交通省「昇降機の適切な維持管理に関する指針」で「昇降機に関する豊富な知識及び実務経験に裏打ちされた技術力を有する者」を推奨

検査対象 以下を除くすべてのエレベーター
・ホームエレベーター
・積載量1トン以上のエレベーター
積載量1トン以上のエレベーター すべてのエレベーター
報告先 特定行政庁 報告義務なし 報告義務なし

防火設備定期調査の検査項目・検査方法

検査内容は非常に多岐に渡りますが、主に下記の内容を「目視・触診・聴診・測定・機器の動作確認」によって確認します。

⑴ エレベーター

エレベーターの検査項目は以下の通りです。

  • 動作確認
  • 制御装置の点検
  • 非常用装置の動作確認
  • 機関室の通路、階段、戸の施錠、室内などに問題がないか

⑵ エスカレーター

エスカレーターの検査項目は以下の通りです。

  • 手すりの動作確認
  • ステップの点検
  • 非常停止装置の動作確認
  • 階床選択機、巻上げ機、ブレーキなどの動作確認
  • 電動発電機に異常はないか

⑶ 小荷物専用昇降機

小荷物専用昇降機の検査項目は以下の通りです:

  • 機械部分の点検
  • 電気部分の点検
  • 安全装置の確認
  • 速度は適切か

⑷ 遊戯施設等

遊戯施設等の検査項目は以下の通りです:

  • 構造部分の点検
  • 降下防止装置の設置や作動の確認
  • かごの設置、構造、ドア、操作盤、操縦機などに問題はないか

参照元:国土交通省公式サイト

法順守の重要性

法令を遵守することは、建物の安全性を確保し、利用者の生命を守るために不可欠です。違反が発覚した場合、厳しい罰則が科されることもあります。

まとめ

建築基準法第12条に基づく定期報告と12条点検は、建物の安全性を確保するために欠かせない重要な手続きです。特に昇降機等の定期調査は、事故を未然に防ぐために必要な措置であり、法令を遵守することの重要性を改めて認識しましょう。

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